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◇慰め 第10話

Author: 設樂理沙
last update Huling Na-update: 2025-03-12 11:23:57

10

私は知紘の言動が酷すぎると言ってもらって泣きそうになった。

私が感じたように酷いって、同じように同調してもらえたことが

ものすごく私の慰めになった。

『それでも何とか夫の気持ちを取り戻したくて、たまには私と一緒に

休日を過ごしてほしいって頼んだこともあったんだけど、駄目だった。

もう夫には私が何を言っても、お願いしても、彼の心には響かないんです。

それでここ最近は泣いて泣き疲れて食欲もなくなり、眠れなくて辛いです』

『それは悲しい思いをしましたね。もっと自分の心情を吐露し、

いっぱい吐き出してみて!』

『私、辛くて悲しくて情けなくて、胸が潰れそう~助けて……ください』

胸の内で私が彼にそう訴えると、いつの間にか……そう瞬間移動したと

しか考えられない一瞬のうちに私の隣に彼が座り、私をやさしく抱きしめ

て今度は口に出して伝えてくれた。

『悲しくなったら、いつでも僕を呼んで。綺羅々と……。

すぐに駆け付けるから』と。

私は彼の肩越しにうなづいた。

『これは夢じゃないの? 綺羅々、あなたはほんとは誰なの?

人間でしょ? 人間よね、異星人だなんてどうしてそんな振り

しているの?』

『美鈴、人間は皆僕のように美鈴の心の中を読み取れるのかい?』

私は首を振った。

『僕のことを異星人として認識できなくてもいいけど……。

僕は必要ない?

そうなら、もう二度と美鈴の前には現れないから、安心して……』

瞬間移動なんていう技を使える綺羅々に、私は焦って声を掛ける。

だってモタモタしていて、彼がどこかへ瞬時にこの場所からいなくなって

しまったら、もう二度と会えないと思ったから。

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